進化するぬくもり。

うれしいお便りが生んだエピソード集

地域のご高齢者にあてた「まごころお手紙」

雫石町立雫石中学校

藤井 美幸(フジイ ミユキ) 先生

場所
岩手県 雫石町
取組単位
学校全体
学年
1・2・3年
人数
374名
実施年月
2023年7月、12月
授業実施教科
国語、総合的な学習の時間
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取組内容

GIGAスクール構想にコロナ禍が拍車を掛け、ICT活用の授業が急速に進みました。しかし一方で、あえてスローに、じっくりと、素朴な人の手で書くことばの温かみとやりとりを、生きた形で生徒達に経験させたいという思いも強まっています。教育の場でこそ、あえて人の手をかけることを教えたい、教えて欲しい。それが地域の大人の共通した思いです。
 雫石町社会福祉協議会と連携し、「白やぎさんホッとレター事業」として、全校生徒が地域にお住いの75歳以上の高齢者(約340世帯)にあてて、「まごころお手紙 暑中見舞い・年賀状」を2019年11月から毎年、送っています。
 生徒たちは「もらう方が嬉しくなるように、文字や絵の丁寧さに加え、相手と繋がれるような内容を意識しています」と話し、回を重ねる度に、「はがきを送る」から「はがきを贈る」に意識が変わっていきました。どんな絵柄をつけようか、どんな話題を書こうかあれこれ思案して、思い思いにお手紙の作成に取り組みました。

雫石中学校 生徒の手紙

取組後の反響

暑中見舞いを受け取った皆さんはいつもたいへん喜ばれ、暑さに負けないよう生徒を気遣ったり、これからの中学校生活を励ましたりして感謝の返事のはがきを送ってくれました。その中のお一人の向野サツさん(89)は、年賀状や暑中見舞いをもらうたびにありがたいなあと涙が出るそうです。いつも「名前で呼びかけられると家の孫のように嬉しい。お陰様で百歳まで生きそうだ。」と話してくれました。

地域の高齢者の手紙

はがきの送付と並行して、生徒会による「まごころお手紙大賞」を開催。もらった人の心が温まるような文章、絵や字のバランスなどを選考の基準としてよいモデルを選び、カラーコピーしたはがきを図書室内学習ギャラリーに展示しました。

この実践は、生徒の書いたはがきを思いもかけない贈り物として大切にしてくださる送付先の地域の皆様と「こういう取り組みを大事にして、皆で子どもたちを気持ちのやさしい人に育てよう!」と音頭を取って下さった福祉協議会のご職員の方々の厚いご理解のうえに継続している取り組みです。生徒にとってもかけがえのない貴重な体験となっています。